【元自衛官が教える】自衛隊に再就職する方法を解説

元自衛官の再任用制度について説明

自衛隊を退職したけれど、思うように社会に馴染めなくて辛い思いをしていませんか?

自衛隊に戻りたいと思うこともあるかもしれません。

実は、自衛隊を辞めた時の階級・給料で復職できる可能性があります!

なぜなら、元自衛官の再任用制度と言うものがあるからです。

この記事では、自衛隊を辞めた人が再び部隊に戻るための方法を詳しく解説します。

記事を読み終えると、自衛隊に戻るために必要な方法が分かるので、より多くの選択肢を手に入れることができます。

目次

元自衛官の再任用制度とは?

自衛隊を辞めた元自衛官を、退職時の階級・給料で復職させる制度です。

根拠となる法律は「元自衛官の再任用に関する訓令」があります。

即戦力となる人材の確保や、育児・介護などの止むを得ない事情で退職した人のための制度です。

元自衛官の再任用制度の利用手順

元自衛官の再任用制度をどのように利用すれば良いのか、順を追って説明していきます。

再任用の条件を確認

元自衛官であれば誰でも再任用される訳ではありません。

退職前の階級によっても条件が変わるので、一緒に確認してみましょう。

幹部

  1. 幹部として1年以上の勤務経験がある
  2. 採用日に49歳未満である
  3. 復帰予定の職種で、初級運用特技以上を持っていた

部隊勤務の経験があれば、条件を満たすことは難しくありません。

幹部候補生や防衛大学校を卒業してすぐの場合は、幹部での復職の条件に当てはまらないので注意しましょう。

准尉・曹

  1. 曹として1年以上の勤務経験がある
  2. 採用日に48歳未満である(1曹以上の階級だった人は49歳未満)
  3. 復帰予定の職種で、中級特技以上を持っていた

曹で中途退職した人は、ほとんどの人が当てはまる条件ではないでしょうか。

年齢の条件だけは、1曹を境目に条件が変わるので気をつけましょう。

  1. 士として1年以上の勤務経験がある
  2. 退職時に士長の階級であった者
  3. 採用日に34歳未満である
  4. 復帰予定の職種で、初級特技以上を持っていた

復職の条件が一番厳しく設定されています。

勤務経験が1年以上とありますが、実際は士長の階級まで昇任していることが必要です。

年齢制限も他階級の人より、低く設定されていることにも注意が必要でしょう。

条件によっては、再任用ではなく自衛隊に入り直す再入隊も選択肢に入ります。

地方協力本部に連絡をする

最寄りの地方協力本部に電話で連絡をしましょう。

予備自衛官に入って居ても居なくても、最初の窓口は地方協力本部です。

自衛官の再任用制度について利用をしたいことを伝えることで、事後の手続きに関する案内をしてくれます。

選考に進むことが決まった段階で必要になる物は、次の通りです。

  1. 履歴書サイズの証明写真
  2. 封筒(自宅宛ての住所を記入したもの)
  3. 63円切手

これらは、書類審査通過後の自衛隊受験票を送付するために利用されます。

原隊の人事に連絡をする

自衛隊を辞める時に、最後に在隊していた部隊に連絡をしてください。

元自衛官の再任用制度は、地方協力本部や方面隊など、様々な部署と連携をしながら選考が進みます。

その中に、原隊からの上申で再任用希望者の要望を上げる必要があるのです。

年間を通して方面隊での採用枠は決まっているので、あらかじめ原隊との連絡を取らなければなりません。

部隊の人事に連絡をする際は、地方協力本部にも連絡をしていることを伝え、連携して貰えるようにしておきましょう。

書類審査

書類審査については、受験者側でできることはありません。

復帰予定の部隊において、過去の資料を元に復職が妥当であるかの審査が行われます。

面接審査

復帰予定の部隊において面接が行われます。

  • 再任用の意思確認
  • 再任用される階級、職務を遂行できる資質の確認

上記の内容を個別面談方式で行います。

対応をする隊員は、1係主任や最先任上級曹長になるでしょう。

※部隊によって細部違いがあります。

一般的な面接同様、なぜ再任用で自衛隊へ戻りたいのかを聞かれます。

元自衛官の再任用の注意点

元自衛官の再任用制度を利用する上で、気をつけなければならない注意点を解説します。

必ず戻れるとは限らない

元自衛官の再任用制度には、各方面隊で年度ごとの採用人数が設定されています。

それに加え、各種条件が重なることで再任用が認められないケースもあります。

以下の例を参考にしてみましょう。

復帰予定の部隊において有用な特技を保有していない

自衛隊の部隊は新編・再編・廃止を行います。

その際、職種は変わらずとも部隊の役割や性質が変わることがあります。

その部隊が求める特技を保有していない場合、再任用の申請が却下されることがあるのです。

服務上、問題があると判断された

自衛隊を退職した理由が、懲戒処分を受けた場合は元自衛官の再任用制度を利用することができません。

また、退職理由が問題なかった場合でも、社会生活をしている上での問題が発覚した時は、申請が却下される場合があります。

採用枠の都合で選考に落ちる

年度で部隊が元自衛官を再任用できる枠は決まっています。

同時期に申請が重複した場合、選考によって条件を満たせなかった者は申請が却下されます。

自分の希望する部隊に必ず行けるとは限らない

元自衛官の再任用制度では、曹以上の希望者は元々の職種の範囲内であれば、復帰する部隊を選ぶことができます。

しかし、受け入れ先の部隊の都合や調整によって、基本的には退職時の原隊で復帰をすることになります。

士長については、自分で部隊を希望することはできず、原則的に退職時の原隊にしか復帰できません。

再任用時期は年4回

再任用が決定した場合、自衛隊に復帰する日は次の通りです。

  • 1/1
  • 4/1
  • 7/1
  • 10/1

仕事を続けている方は、その日付に合わせて退職の手続きを済ませていなければなりません。

元自衛官の再任用制度を利用するメリット

あまり知られていない元自衛官の再任用制度ですが、利用をすると次のようなメリットがあります。

  • 階級・給与が退職時と同じまま復職が可能
  • 安定した公務員職へ、比較的復帰が簡単

自衛隊を辞めた後も同じ待遇で戻れる可能性があると考えると、転職時の保険として十分に活用することができます。

元自衛官の再任用制度についてよくある質問

よくある質問について解説をしていきます。

昇任はどうなるの?

復職時の序列は再任用された年度から、在職をしていた当時の階級の期間を遡った年度に、昇任したものとして計算をされます。

再任用された年度は、当てはまる期別の序列最下位からの再スタートになります。

昇任に関しては現職を続けていた時よりも、通常遅くなってしまいます。

予備自衛官に入らないとダメなの?

予備自衛官になっていなくても、元自衛官の再任用制度は利用可能です。

即応予備自衛官や予備自衛官として昇任をしていた場合、その階級で復職できる可能性があります。

まとめ

あまり知られていない元自衛官の再任用制度について、詳しく解説をしました。

自衛隊に復帰をしたいと思った時に、まず取る行動は次の通りです。

  1. 地方協力本部に連絡
  2. 退職時の原隊に連絡

連絡後はそれぞれ担当の者がフォローアップをしてくれる体制が整っています。

自衛隊を辞めた人も、辞めようと悩んでいる人も、この制度を知ることで選択肢の幅が大きく広がります。

現在進行形で退職を悩んでいる人は、こちらの記事も参考にしてみてください。

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