心服的指導と威圧的指導 どっちが良い指導?

自衛官の育成に、心服的指導が良い理由を紹介

新しく後輩が入ってきて、なかなか言うことを聞いてくれなくてイライラしていませんか?

陸曹として営内班をまとめたいのに、陸士の反応が悪いと思っていませんか?

実は、指導のやり方を変えるだけで驚くほど違う環境に変えることができます。

なぜなら、ただ威圧的に命令をするだけでは人は動かないからです。

この記事では、良好な人間関係を作り営内における服務指導の参考になる

書籍や考え方を紹介します。

記事を読み終えると、考え方の幅が広がりどんな後輩が入隊してきても

笑顔で迎え入れることができるようになりますよ!😆

目次

心服的指導・威圧的指導

自衛隊で教育されている指導方針に出てくる用語が

『心服的指導』と『威圧的指導』です。

威圧的指導

・怖がらせるように声を荒げて指導
・できないことを責めてやる気を出させる。
・何かが達成できなかった時に禁止する条件を設ける

いわゆる、体育会系やブラック系な指導方法のことを言います。

ちほう

個人的には指導方法と言うことすら止めた方が良いと思っています。

比較的、指導をする方法としては簡単です。

当然、上司や先輩から怒られた部下が真っ向から反抗することは中々ありません。

見た目には指導に従ったように見えますが、近い内に同じような失敗や問題を繰り返すのは

心の底から改善をしようとしたり、上達しようと思えないからに他なりません。

頭ごなしに怒るだけでは、指導者としての責任を果たしていない

と自覚を持ちましょう!

心服的指導

・個人1人1人の個性に合わせた指導を行う。
・部下や後輩から信頼され『この人の言うことなら信じることができる』
 と思ってくれるように関係を作る。
・科学的に人間関係を良好にする方法

人間関係に関する書籍がいろいろと出版されています。

心服的指導とはそれらの手法を取り合わせて行う指導法のことです。

威圧的指導とは異なり、隊員1人1人の個性に合わせる必要があり

知識不足や慣習のせいで上手くできないこともあると思います。

一番大切なことは部下を『真に思い』その部下の人生決定に関わることをしている

責任を自覚しなければならいことです。

NGワードは『お前の為を思って言ってやっているんだぞ』です。

本当に彼、彼女の為を思っているのであれば、尊重するべきは尊重し

本当に間違っていることはなぜ間違っているのかを論理的にしっかりと説明しましょう。

新隊員と言っても『18歳の大人』です!

説明をすれば、かならず理解できる年齢ですので、子供扱いや陸士だからと線引きせずに考えましょう。

具体的にどんなことをしたら良いのか、例をいくつかあげますので参考にしてください!

褒める

人は例外なく誰しも自分を認めて貰いたい生き物です。

誰よりも人は自分のことを大事に思います。

そして、褒めることは一番ストレートにその欲求を満たしてあげられる方法です。

すべては自分のこととして置き換えてみてください。

頑張った結果

パターン1

「陸士なんだから当たり前だろ!」

パターン2

「ありがとう! 君のおかげで助かった!」

どちらがより良い関係を築くために最善の言葉か分かりますよね?

「こいつ、何も褒めるところなんて無いんです。まじエースなんです!」

と、言われる方も実際に居ました。

ちほう

残念な陸上自衛隊で言うエースは蔑称の意味合いが強いのです😢

例えば戦技が苦手、学科が苦手、駆け足が苦手。

人には当然、得意なこと不得意なことがあります。

しかし、その一方で他の人と比べても見劣りしない能力も確実に持っています。

それは訓練や業務上では発揮しにくい個性かもしれません。

いつも明るく振舞えたり、パソコンの操作が格段に上手だったり、ガスマスクの装着が得意だったり。

何かひとつ、どんな分野でも良いので褒めて伸びるところを探すことが心服的指導のスタートです!

キレない

自衛隊の訓練は常に極限状態へと追い込まれます。

・寒い
・暑い
・きつい
・辛い
・汚い
・眠い

これら負の感情は自然と自分より階級の低い者への八つ当たりの形で現れます。

訓練場、あるいは業務上でのミスがあったのならば大声で怒鳴りつけるのではなく

何が間違いで、どう正さなければならないのかを説明してあげてください。

萎縮した相手はいつもの能力以下の動きしか出来ません。

それは結果的に指導をした側の負担が増えることにもなります。

「状況中にそんな悠長なことはできない!」

ちほう

それでもです!

ただ階級が上がっただけではありません。

1つ上がった階級には責任が伴っています。

どうしても自分にはそんな余裕が無いと言うことであれば

事前訓練を入念に行いミスを未然に防いだり、不測の事態が起きた時のルーティンを決めておきましょう。

認める

些細なことでも認めてあげましょう。

・前回の体力検定よりも1回でも腕立てができるようになったら。
・学科試験で1点でも多く取れるようになったら。
・掃除の要領が以前より良くなっていたら。

人を認めることは実はすごく抵抗を感じる行為です。

人は誰しもが自分が認めて貰いたいからこそ、様々なことに努力できるのです。

だから自分ではなく他人を認めることはすごく難しい行動です。

だからこそ、認められたと感じた相手は自己肯定感をしっかりと高めることができ

その自己肯定感は成果を上げることに繋がります。

いつもダメ出しばかりをしていては相手の自己肯定感を否定し続けることになり

成長の手がかりを一切つかめないまま無気力な隊員を生み出すことになります。

任せる

最初は些細な仕事からで良いのでやるべきことを任せて責任を持たせてあげてください。

自分に責任があることは、自然とそれなりにやる気を出して任された仕事を完遂しようとします。

この際、明確な目的や期日を決めて、ただ投げやりにこれをしておけ、と言うことは無いようにしましょう。

求められていると感じた時に、人は大きく成長することができます。

威張らない

自分のことを認めて欲しいのは、指導をする側も同じです。

そのため、中には陸曹であると言うだけで威張る方もいらっしゃるのが残念ながら事実です。

きつい訓練を乗り越えて責任ある立場についた陸曹だからこそ

余裕を持って陸士に接して欲しいと思います。

どんなに部下や後輩に威張り散らしたところで、集めるのは尊敬ではなく不満と反感だけです。

俺の時代は、と言わない

時代は変わります。

その変化と共に自分の考えも少しずつ変えていく必要があります。

時には時代の流れに規則やルールが追い付いていないこともあります。

古めかしい習慣が続くこともあると思いますが、少なくとも部下や後輩への接し方は皆さんが決めることです。

昔は良しとされていたことも、科学的に根拠が無かったりもします。

どんなアドバイスも指導もその正しい根拠を示してあげることで

部下や後輩はしっかりとその意味を理解して成長することができます。

自分がされたことだから、後輩や部下にも同じことをする。なんてことが無いように気を付けましょう!

まとめ

指導方法に迷っている方にとって、少しでも参考になりましたでしょうか?

最近では人間関係に関する書籍が多くでているので、参考にするのも1つの手です!



覚えておいて欲しいことは「人として尊敬される先輩、上司であってほしい」と言うことです!

能力が高いことだけが先輩の存在意義ではありません。

良好な人間関係を作って、本当の意味で団結の深い中隊や班を作って欲しいと思います。

そして、それができるのはそう意識した1人1人の力です!😆

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