【元自衛官が解説】陸上自衛隊の体力検定合格完全ガイド【3,000m走】

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  • 自衛隊に入隊したいけど、今まで本気で走ったことがない…
  • 体力に自信がないけど、検定には合格したい💦
  • なるべくキツくない練習で、検定合格レベルを突破したい

自衛隊に入ると、必ず合格しなければならない試験に、体力検定があります。

運動経験が無かったり、そもそも運動が苦手だと受験するだけでも嫌になりますよね💦

体力検定が不合格になると、次のような問題があります。

  • 合格するまで何度でも受験しないといけない
  • ボーナス、昇給に悪影響がある
  • 3等陸曹に昇任できない

私も最初のタイムは15分30秒と、1分近くタイムが足りませんでした。

それでも、新隊員最後の検定では13分30秒まで伸びました。

この記事では、3,000m走を合格するためのコツと、タイムを伸ばすトレーニング方法を紹介します。

この記事を読めば、体力検定の最低ラインを合格する目安練習のやり方が身に付きます。

新隊員教育隊の3,000m走の基準タイム14分35秒をクリアするためには、正しいフォームでゆっくり走る習慣を身につけるだけでもクリアできます!

目次

体力検定種目「3,000m走」の基本知識

3,000m走のルール
  • スタートはスタンディングスタート
  • 測定時間は秒単位で記録
  • 伴走は不可

走るコースは、高低差がなく平坦なコースになるように設定されています。

新隊員の合格基準
性別合格タイム
男性14分35秒以内
女性17分41秒以内

教育隊や部隊の大勢と一緒に走ることが多く、雨の中でも構わず検定が行われます。

体力検定に合格できる正しいフォーム

理想のフォームは、次の要素を含んでいます。

  • 少しだけ前傾姿勢
  • 視線は10m先の地面
  • 顎が少し引けている
  • 腕は約90度、腕降りは肘を引き上げるイメージ
  • ひざ下が地面と垂直の位置で着地
  • 足裏は地面と水平に着地
ちほう

駆け足が苦手な人は少しだけ前傾姿勢になることだけ意識しよう!

前傾姿勢を意識して、猫背になってしまうのはダメです。

身体の軸はまっすぐ一本の線が通ったイメージを持ちましょう。

猫背になってしまうと、足が綺麗に踏み出せずに体力を余計に使う走り方になってしまいます。

タイムが伸び悩んだり、ケガをしやすい人は次の画像のようになっていないか注意しましょう。

  • 目線が下を向きすぎている
  • 腕が振れていない
  • かかと重心の着地

かかと重心の着地は、膝への衝撃も強く身体への負担が大きいので気を付けましょう。

ちほう

ケガをすると、体力が一気に落ちてしまうのでケガをしない走り方を目指しましょう!

検定合格までのレベル別トレーニング方法

自衛隊に入って初めて本格的に運動をする人は、運動強度の低いメニューから練習を始めましょう。

レベル1 ジョギング

会話ができる程度のペースで、30分~60分走る方法です。

ジョギングの効果
  • 苦しくなりにくいので習慣化しやすい
  • 基礎体力の向上
  • 有酸素運動によるダイエット効果
  • ケガリスクが低い

運動が苦手な人でも、自分が走り続けられるペースで走る習慣を身につけましょう。

運動強度が高いメニューの間に、ジョギングをいれて身体を回復する方法もあります。

レベル2 ペース走

目標タイムから走るペースを逆算して設定する練習方法です。

目標ペースの決め方

14分35秒/3㎞で走りたい場合

目標ペース:4分50秒/1㎞

ペース走は、目標ペースを崩さずに走ります。

具体的な練習の流れは次の通りです。

STEP
ウォームアップ(10分~20分)
  • ジョギング
  • 動的ストレッチ(ジャンプ、スキップなど)

身体を温めることを考えてウォームアップをしましょう。

ストレッチは厳禁!

身体や筋肉が緩むので、ケガのリスクが上がってしまいます。

運動前は身体を温めることを第一に考えましょう。

STEP
メイン走

4分50秒/1㎞のペースで一定距離、または一定時間走る。

目安の時間と距離

距離:5㎞~8㎞

時間:20分~30分

ちほう

3,000m走の練習でも、3,000m以上走ることが大事!本番での粘り強さが変わってきます!

1㎞のペースを一定に保つために、ランニングウォッチやガーミンなどのアイテムがおススメ!

1㎞のラップタイムを記録してくれるので、走っている最中に余計なことを考えずに済みます。

レベル3 インターバル走

高強度の短距離走短い休憩を交互に繰り返す練習法です。

インターバル走のメリット
  • 最大酸素摂取量の向上
  • 乳酸耐性の強化(疲れにくくなる)
  • 速いスピードで走り続けることができるようになる。
  • 時間効率が良い(短時間で済む)
  • メンタルの強化(心拍が上がった状態に慣れる)

具体的な練習の流れは次の通りです。

STEP
ウォームアップ(10分~20分)
  • ジョギング
  • 動的ストレッチ

動的ストレッチは脚振り、レッグスウィングなど脚部関連を中心にしましょう。

STEP
ドリル&フォーム確認(5分)
スキップ走

高膝スキップ×20m

膝を腰の高さまでしっかりと上げ、腕は前後に大きく振る。

着地は足の裏全体で着地を意識する。

バットキック

かかとをお尻に近づける動き×20m

かかとをお尻に近づけるように蹴り上げる。

前傾姿勢を崩さない。

腕はリズムに合わせて前後に振る。

STEP
インターバル走:300m×10本
項 目内 容
距離300m/1本
目標タイム85秒/1本
インターバル90秒

スタートは抑え目に走り出し、後半100mでペースを維持・上げていきましょう。

各本のラップタイムは必ず記録・確認しましょう。

1~3本目の目安

身体を鳴らすことを意識しましょう。

4~7本の目安

心拍数が自分のピークに近い心拍数を維持する。

8~10本目の目安

フォーム維持とメンタル耐性がポイント

6本目以降でペースが明らかに落ちる場合は、フォームが崩れているサインです。
ダッシュ時の上半身の角度・着地位置をチェックしましょう。

STEP
クールダウン(10分~15分)
  • ジョギング
  • 静的ストレッチ

ストレッチはハムストリングやふくらはぎを中心にそれぞれ30秒ほどストレッチしましょう。

STEP
アフターケア
栄養補給

トレーニング後30分以内に、炭水化物+タンパク質を摂取しましょう。

例:バナナ+プロテイン

休養

高負荷のインターバルトレーニングは週1~2回の練習に抑えましょう。

インターバルトレーニング以外の日は、ジョグや完全休養で疲労を抜いてください。

体力検定合格に近付くアイテム

簡単にタイムを縮めるには、レース用のランニングシューズを手に入れましょう。

マラソンのために開発されたランニングシューズに履き替えるだけで、普段のタイムより確実に速く走れるようになります。

ランニングシューズの選び方

初心者の内は、ケガをしにくい厚底のシューズを購入しましょう。

ランニングシューズには、厚底と薄底の2種類があります。

それぞれの特徴は次の通りです。

スクロールできます
比較項目厚底シューズ薄底シューズ
クッション性
反動が抑えられる

地面の感触を捉えやすい
重量
軽い 

非常に軽い
靴底の高さ高い
履き慣れるのに時間が必要
低い
違和感なく履ける
ケガのしにくさ
初心者から上級者まで使える

足裏、膝への負担は高い
ちほう

厚底でも競技レベルのシューズが増えています!好みがなければ、最初の靴は厚底シューズがおススメです!

おススメのランニングシューズ

足幅が広い人にはアシックスがおススメ!

海外メーカーのシューズは、細い靴が多いので合わない💦

そんな悩みも、アシックスなら解消してくれます!

マジックスピード5は、練習レース両方に使える万能型のシューズです。

最初の一足に悩んだら、兼用のシューズを買いましょう。

安定性・耐久性を追求するならこちらもおススメ

厚底シューズの安定性と耐久性、クッション性を体感できるシューズです。

レース用のシューズとは別に、練習用として持っていると非常に助かります。

ケガをしてしまうと、回復するまで練習ができなくなり、その期間で周りとの差もついてしまいます💦

初心者の内は、とにかくケガをしないことを最優先に考えましょう。

「3,000m走」実施時の注意点

実際に3000m走を走る時の注意点は次の通りです。

  • スタート時に周りのペースに吊られない
  • 雨の日対策を行う
  • サプリメントは飲みなれたものだけ(または使わない)

スタート時に周りのペースに吊られない

3000m走のスタート時は、自分よりペースの速い人に吊られないように、自分のペースを守りましょう。

体力検定の3000m走は、受験者全員が一斉にスタートします。

自分のペースより明らかに速い人についていくデメリットは次の通りです。

  • 序盤で心拍数が上がり過ぎる
  • 後半、差が付き始めるとメンタル的に諦めが出てしまう
  • 全体的なタイムは落ちてしまう
実際にあった例

隊員Aは一斉スタートで足の速い人に吊られて最初の1kmを3分前半で追い掛けてしまった。

後半の2kmは、息切れを起こし一気に失速し結果的にいつもよりもタイムが遅い結果になりました。

ちほう

体力検定をやるたび、オーバーペースで失敗している人を見たことがあります。

3000m走では、自分のラップタイムを練習の時からチェックし、本番でも同じ速度を維持することが大事です。

雨の日対策を行う

雨が降っていても、よほどの悪天候でない限り体力検定はやります。

雨の日は次のような対策を考えましょう。

  • 速乾性インナーを用意
  • グリップの強いシューズまたは滑り止めシートを付ける
  • かかと着地を避けて滑り防止
  • ワセリン&ベビーオイルで股ずれ、脇ずれ防止
  • ゴール後の着替えの準備

それぞれ詳しい解説は次の通りです。

速乾性インナーを用意

素材がポリエステルやナイロンのものを選びましょう。

速乾性インナーのメリット
  • 濡れることによる冷え防止
  • 雨で重くなりにくい
  • 摩擦で肌を痛めにくい

次のような無難なデザインのシャツがおススメです。

グリップの強いシューズまたは滑り止めシートを付ける

雨の日でも滑りにくいシューズは次のような特徴があります。

  • ブロック状の突起が深めで角が立っている。
  • 粘りのあるカーボンラバー素材を使っている。

濡れたアスファルトや草地での滑りリスクを軽減できます。

普段のシューズと感覚が変わってしまうので、事前の履きこなしが必要です!

必ず1度はコースを走って感触を確かめましょう。

ちほう

なるべく、実際に路面が濡れている環境で走るのをおススメします!

かかと着地を避けて滑り防止

タイムを縮める正しいフォームで紹介した、足裏全体での着地を意識しましょう。

  • かかと着地で起きるブレーキを減らせる
  • 着地時に荷重が分散し滑りにくい

走っている時に良く滑る人は、着地に問題があります。

ゆっくり走って、自分のランニングフォームをよく確認しましょう。

ワセリン&ベビーオイルで股ずれ、脇ずれ防止

ランニング中の股ずれ、脇ずれはワセリンを塗ることで回避できます。

股ずれ、脇ずれは衣服と皮膚が擦れることで起きるケガです。

特に衣服が濡れた状態だと、状態が悪化するリスクが高まります。

  • 走る直前に塗るのではなく、20分前に塗って肌に馴染ませる。
  • スプーン1/4程度を薄くのばす。

ワセリンを塗って、ケガを防止しましょう。

ゴール後の着替えの用意

雨の日に走る場合は、最低でも次のような着替えを用意しておきましょう。

  • 速乾性インナーシャツ
  • ドライソックス(替えの靴下)
  • 防寒用のジャージ、レインウェア
  • タオル

走り終わったら、体を濡れたまま放置しないように気を付けましょう。

濡れた体を乾かすメリットは次の通りです。

  • 風邪予防
  • 筋肉の硬直防止
  • マメ・水ぶくれ防止
ちほう

自衛隊では、走り終わった後に「発汗後の処置」の時間を確保します。その時間を使って、身体の手入れをしましょう!

サプリメントは飲みなれた物を使う(または使わない)

サプリメントを飲みなれていない人は、使わない方が良いです。

ちほう

実際に私の知り合いは、飲みなれていないサプリを直前に飲んで体調不良になり、基準タイムに届かず級外になってしまいました💦

サプリメントを飲んだからと言って、タイムが劇的に縮むことはありません。

3,000m走検定の日までに必要なことは次の通り。

  • コツコツと練習して走り続ける
  • 体調管理
  • レース用シューズの履き慣らし

サプリメントに頼ることなく、タイムは縮めることができます。

Q&A

新隊員教育隊で真ん中レベルはどれくらい?

12分台で走ると、だいたい真ん中くらいです。

陸上競技経験者や部活動経験者は9分台~11分台

完全未経験者は13分台~

1キロ何分で走れば合格?

1キロ/4分50秒ペース

不合格だと、同じ班の人も連帯責任で合格まで走らされる?

走ることはありません。

ひと昔前の自衛隊では、班全体の責任として出来るまで全員でやる慣習が続いていましたが、現在では教育方針も変わってきています。

ちほう

中には、心配で一緒に走ってくれる同期も居ました。
それは心強くて嬉しかったのを覚えています!

まとめと今後の対策

体力検定「3,000m走」に合格するために大事なことは次の通り。

  • 正しいフォームで走る
  • 運動習慣を身に着ける
  • レース用ランニングシューズを履く

運動習慣を身に着けたり、正しいフォームを身に着けるためにも、まずは練習に適したランニングシューズを手に入れましょう。

ちほう

私がおススメするのは、アシックスのランニングシューズです!
特に足幅が広く靴選びに迷いがある人は、一度試してみてください。

体力検定全般の合格基準が知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

腕立て、腹筋を鍛えたい方は、こちらの記事を見ると合格できます!

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